コラム
ファクタリングの勘定科目や仕訳方法が分からないとお悩みの方に!
ファクタリングの勘定科目や仕訳方法が分からないとお悩みの方に!
ファクタリングの勘定科目とは?ファクタリングは、企業が資金繰りを円滑にするための便利な方法ですが、会計処理方法が複雑で損益計算書や貸借対照表に与える影響について知識が必要です。本記事では、ファクタリングを利用したときの仕訳方法を詳しく解説し、企業の会計担当者が正確に処理できるようにサポートします。
ファクタリングとは?
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(未回収の請求書)を、ファクタリング会社や金融機関に売却し、簡単、最短に資金調達する金融サービスです。売掛金の回収に時間がかかり、企業の資金繰りに影響を与える可能性がある際に、ファクタリングを利用することで急な支出や投資機会にも迅速に対応でき資金繰りの改善が期待できます。銀行からの融資などとは異なり、負債にはならないため、企業の財務状況を悪化させません。
買取型ファクタリング
買取型ファクタリングは、未回収の売掛金を現金化するためのサービスです。買取型では、ファクタリング会社が売掛債権を直接買取ります。これによって、企業は未回収の売掛金をすぐに現金化することができます。買取型ファクタリングを利用すると、担保や保証人が不要で、手続きも比較的簡単です。企業は売掛債権をファクタリング会社に売却することで、取引先からの支払いを待つ必要がなくなり、すぐに資金を手に入れることができます。買取ファクタリングには、2種類の取引形態があります。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングは、企業とファクタリング会社の間で行われる取引形式です。2社間ファクタリングでは、取引先企業の承諾を得る必要がないため、売掛先とのビジネス関係に悪影響を及ぼす心配がありません。最近では手続きが簡略化されており、迅速に現金を手に入れることができます。売掛金の回収期間を短縮したい場合や、資金を急いで必要とする場合などは、2社間ファクタリングがおすすめです。
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングは、利用者、ファクタリング会社、そして売掛先の3社が関与する取引形態です。3社間ファクタリングでは、売掛先の承諾が不可欠です。そのため、3社間ファクタリングでは資金化までに時間がかかることがありますが、手数料が比較的安価で審査も通りやすいという利点があります。さらに、信用力調査は売掛先に対して行われ、利用者の経営状況などは考慮されないため、審査を通過する可能性が高くなります。3社間ファクタリングは、売掛先からファクタリング会社へ直接支払うため、利用者にとって売掛金回収の手間が省けます。
保証型ファクタリング
保証型ファクタリングは、ファクタリング会社に保証料を支払うことで、一定の範囲内で売掛金の回収が保証される仕組みです。このサービスでは、取引先が支払いを滞らせたり倒産したりした場合に、ファクタリング会社が一定の金額を保証してくれます。
これにより、企業は売掛金の回収不能リスクを軽減し、現金化することができます。
ファクタリングに用いる勘定科目とは?
ファクタリングを正確に理解するためには、適切な勘定科目を知ることが重要です。ファクタリング取引に関連する複数の勘定科目について詳しく解説します。ファクタリング取引では、以下のような勘定科目が用いられます。それぞれの科目がどのような役割を果たすのかを確認していきましょう。
売掛金(資産)
売掛金とは、企業が商品やサービスを提供し、その代金を顧客からまだ受け取っていない場合に発生する未回収の債権を指します。具体的には、企業が商品の販売やサービスの提供を行った際、すぐに現金で支払われず、後日支払われることが約束されている場合に「売掛金」として会計帳簿に記録されます。売掛金は、貸借対照表において「資産」として扱われます。
未収入金(資産)
ファクタリング会社と買取型ファクタリングの契約を締結したものの、まだお金が振り込まれていないタイミングでは、この「未収入金」を使用します。企業が本業以外で得た収益や、臨時的な収入に関する代金で、まだ回収されていない金額を指します。未収入金は、売掛金と異なり、通常の営業取引以外から発生するものです。貸借対照表上では「流動資産」として分類され、企業が近い将来に受け取ることを期待される金額として計上されます。
普通預金(資産)
普通預金は、名称のとおり口座に入出金されたお金を計上するための勘定科目です。資産科目に該当します。
売上債権売却損(費用)
売上債権売却損とは、企業が売上債権(売掛金や受取手形など)をファクタリングや債権譲渡で売却する際に発生する損失を指します。売掛金を早期に現金化するためにファクタリングを利用した際、手数料が発生し、売却額が帳簿価額を下回る場合にその差額を「売上債権売却損」として会計処理します。手数料を売上債権売却損として計上することで、当該費用がどのように発生したかを明確に示すことができます。売上債権売却損は、損をしたということになるので、費用勘定の科目に該当します。
支払手数料(費用)
保証型ファクタリングを利用した際に、売掛金が正常に入金された場合、手数料は「支払手数料」を用いて仕訳します。売掛金が未回収となった場合は、別の勘定科目を使用するので、間違えないようにしましょう。こちらも損をしたということなので、費用の勘定科目と考えます。
貸倒損失(費用)
貸倒損失は、貸倒れ、未収金の債権が回収不能となった場合などに使う勘定科目です。保証型ファクタリングで、売掛金が未回収(不良債権)となった場合、取引先が倒産した場合、売掛金が回収できなければ、その金額は貸倒損失として計上する必要があります。手数料はこの「貸倒損失」を使用して仕訳します。貸倒損失は、負債と勘違いしがちですが「費用」の勘定科目です。
預かり金(負債)
企業が一時的に受け取り、後に第三者に支払う義務がある金銭を指します。貸借対照表では 負債として計上され、企業の純粋な収入ではないため、収益や費用には含まれません。「預かり金」として計上し、負債の勘定科目です。
雑収入(収益)
保証型ファクタリングで、売掛債権が不良債権となった場合、支払われた保証金は「雑収入」で仕訳します。
ファクタリングに消費税はかからないことを認識しておく
ファクタリングには消費税がかからないことを把握しておくことが重要です。ファクタリングは消費税の対象となる取引ではなく、金融商品の一種として扱われるため、通常の売買取引とは異なります。そのため、ファクタリング取引を行う際に誤って消費税を計上しないようにする必要があります。
ファクタリングで消費税を不当に上乗せしてくるファクタリング業者に騙されることにないように注意しましょう。
ファクタリングを仕訳する際のポイント・注意点
ファクタリングの仕訳は、企業の財務管理において重要なプロセスです。適切な仕訳を行うことで、経費や収益を正確に把握し、透明性の高い財務報告を実現することができます。まず、ファクタリングを仕訳する際の基本的なポイントを押さえておくことが重要です。
償還請求権あり: 売掛債権が回収できない場合、売却した企業に返済義務がある取引です。この場合、売掛金は貸借対照表上に資産として残ります。
償還請求権なし: 売掛債権が回収できなくても、売却した企業に返済義務がない取引です。この場合、売掛金は完全に除却されます。
仕訳の基本構造
例えば、売掛金100万円をファクタリング会社に95万円で売却し、手数料5万円が発生した場合
(借方)現金(預金) 950,000円 (借方)売上割引(または支払手数料) 50,000円 (貸方)売掛金 1,000,000円
現金の受け取りと手数料の処理
現金の受け取り: 売掛金の対価として受け取った金額を現金や預金として借方に記録します。手数料の処理: 手数料は経費として計上し、会計期間の損益に影響を与えるため、売上割引または支払手数料の勘定科目を使って記録します。
貸方に売掛金を記録
売掛金は貸方に記録し、売掛金の減少を示します。償還請求権ありの場合は、貸借対照表上で売掛金を完全に除却せず「債権譲渡損」などの科目を用いることもあります。
契約内容を理解すること
ファクタリング契約の内容(償還請求権の有無、手数料の条件など)をしっかり理解した上で仕訳を行うことが重要です。ファクタリングを利用する前に、契約書にファクタリングを禁止する条項がないか確認する必要があります。企業間の契約において、ファクタリングを禁止する条項が含まれていることがあり、その場合ファクタリングを実施すると契約違反となる可能性があるからです。ファクタリングを契約する前に契約書をしっかり確認し、必要ならば専門家に相談することで、後々のトラブルを防ぐことができます。